市立三小の給食メニュー(H24年度)
国分寺市内の多くの市立小中学校では、5月下旬の給食メニューに国分寺産の新茶を使用した「お茶いりわかめごはん」が予定されています。(第2・第3小学校は5月30日、第5小学校は5月25日等)
Save Kokubunjiでは市に対して、5月の給食メニューが各家庭に配布された直後からその安全性への懸念を伝え、状況の把握と自主測定の可能性について模索する活動を続けてきました。
以下に、現時点でSave Kokubunjiとして把握している事実をお伝えします。
● 市による給食食材事前測定結果
5月18日(金)に国分寺市の給食食材測定事業により、「お茶入りわかめごはん」に使用される国分寺茶の放射能測定が行われました。
http://www.city.kokubunji.tokyo.jp/dbps_data/_material_/localhost/700000/s701500/20120518.pdf(※PDF書類)
これによると、「飲用茶」状態での測定で
Cs134: 不検出(検出限界値1.14Bq/kg)
Cs137: 不検出(検出限界値0.97Bq/kg)
という結果が出ています。
なお今回は茶葉の状態での測定はしていないため、飲用茶の状態での数値のみとなります。
● 都による国分寺茶の新茶の測定結果
5月21日付けで厚生労働省から発表された「食品中の放射性物質の検査結果について(第395報)」の中の「自治体から入手した放射性物質の検査結果」では、国分寺産の荒茶からの浸出液(つまり「飲用茶」状態)の結果が以下のように発表されています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002azdt-att/2r9852000002azhk.pdf(※PDF書類)
No.1,317
報告自治体: 東京都
実施主体: 東京都
産地: 東京都国分寺市
品目名: 荒茶浸出液(非流通品)
検査機関: 東京都農林総合研究センター
測定法: Ge(ゲルマニウム半導体測定器)
採取日(購入日): H24.5.15
結果判明日: H24.5.18
Cs134: 1.4Bq/kg
Cs137: 2Bq/kg
Cs合計: 3.4Bq/kg
この、放射性セシウム合計3.4Bq/kgという値はどのように考えればよいのでしょうか。
上記の検査結果報告の他の地域の値を見て頂ければ分かる通り、セシウム合計で数Bq/kg〜10Bq/kg未満の値は、埼玉・千葉・東京の飲用茶ではほぼ全域で検出されています。また、報道によれば、千葉県や栃木県の一部地域では新基準値の10Bq/kgを越えるお茶も検出され、その地区は出荷制限が昨年から引き続き継続されています。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20120518-OYT1T00942.htm?from=tw
http://www.pref.tochigi.lg.jp/kinkyu/g03/aracha.html
茶葉からお茶を淹れた場合に、セシウムがどの程度移行するのかについては、昨年来様々な実験が行われ、議論が続いています。
http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/tya_taiou.html
http://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-340/documents/ocha-panfu230802.pdf(※PDF書類)
お茶の入れ方によりその係数は必ずしも一定にはなりませんが、一般的に、飲用茶の値を50〜100倍することで茶葉の値を推定することが出来ると考えられます。
上記の国分寺産の新茶の値、3.4Bq/kgを50倍すると170Bq/kg、100倍すると340Bq/kg。少なめにみても茶葉の状態では約200Bq/kgの汚染が、今年の新茶にもみられることがこれで分かります。
実際の茶葉の測定結果が発表されれば、更に正確な数値で判断することが出来ますが、現在のところ国分寺茶に限らず、生産者の皆さんが茶葉状態で測った数値は一切公表されていない状況です。
● 給食では国分寺茶100%の荒茶を使用
使用材料は国分寺市が国分寺茶100%の荒茶を生産者から直接購入しているとのことです。
市場に流通している「国分寺茶」とは別のものとなり、こちらの流通品は静岡の契約農場で生産された茶葉をブレンドし、味や風味が調整された製茶となるようです。国分寺産の茶葉100%のものを入手するのは一般には難しいものとおもわれます。
● 茶葉は入れず、飲用茶のみ使用するレシピ
「お茶入りごはん」は、レシピによっては茶葉自体をごはんに混ぜ込んで使用するものもありますが、今回の給食メニューでは、飲用茶のみを使用するとのことで、出がらしの茶葉は廃棄されます。
● 代替食の持参は公に認められています
市としては、事前測定でセシウム134、137共に1Bq/kg以下であることがほぼ確認できているため、このまま使用する方針とのことです。
ただ東京都の測定結果についても認識しており、このメニューを食べるかどうかについては、各家庭の判断に委ねるという態度です。家で炊いたご飯なりをお弁当の形で代替して持参することは、市の方で公に認められています。(事前に学校側に連絡する必要はあります)
もし代替食の持参を学校側に拒否されるような事があった場合にはSave Kokubunjiまでご一報下さい。問題なく対応してもらえるよう、サポートさせて頂きます。
市立三小の給食メニュー(H23年度)
● 毎年、新茶の季節に出されている恒例メニュー
「お茶入りわかめごはん」は今年新たに加わったメニューではなく、毎年5月の新茶の季節に出されていた恒例のメニューです。つまり、実は昨年の新茶でも「お茶入りわかめごはん」が作られ、提供されていました。昨年のお茶は、今年とは比較にならない程に汚染されていた事が容易に想像され、Save Kokubunjiが昨年6月に活動をスタートさせる前の事とはいえ、当時何も出来ずにいた事が大変悔やまれます。
市立二小の給食だより(H24年度)
● 市には、より慎重かつ丁寧な対応を求めます
このメニューは毎年恒例とはいえ、昨年来、緑茶のセシウム汚染は大変大きな問題として取り上げられ、お茶の文化の存続に関わる問題として、消費者側のみならず、生産者側も真剣にその汚染の原理や状況把握に務めてきたという経緯があります。
その事をどこまで理解された上でのことか分かりませんが、5月上旬に発行された給食だよりに代表されるような、汚染の懸念などまるで一切無いかのような形での告知ではなく、市が調査して把握している情報をより詳しく掲載することで保護者が判断できる形にしてほしいと考えます。
国分寺市は、武蔵野・多摩地域でも特に先んじて給食食材の事前測定を実行に移し、またそのデータを毎日公表しているなど、この問題への意識は充分に高いものと理解してきました。今後は、今回の国分寺茶のように、より重点的に測定するべき食材については提供まで充分な時間をとれる時期に、また多角的に(茶葉の状態でも測定するなど)行い、その結果をホームページのみならず、給食だよりのような形できちんと報告していくことを求めます。またそれに併せて、代替食持参が可能な事をもっと分かりやすく告知していく事も必要と考えます。
放射能汚染の問題は大変複雑で、ともすると測定結果が大きな社会問題に発展してしまう可能性も秘めています。だからといって今回の給食メニューのように、まるで懸念など一切無いかのような態度でいることは、かえって不安を煽り、結果的に社会全体での放射能に対する正確な理解を妨げることに繋がってしまうのではないでしょうか。
国分寺市には、これからもこの問題に対して本気で取り組み、市と市民とが一緒になってこの状況を克服していけるような環境作りを、引き続き求めていきたいと思います。
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